空華 グループ展

空華 グループ展

今井康雄 竹内淳子 中尾美園 三橋登美栄

2022.11.1(火)~13(日) 7日(月)休廊

12:00~18:00(最終日17:00)

 

今井康雄 Yasuo IMAI

「HelleboreⅢ(ヘルボアⅢ)」 板にアクリル絵具 17.2×23.2cm 2022

私はもう20年以上、魂の所在ということをテーマに制作しています。

絵画における平面性とそこに投影されたイメージの不可触性は、魂という不可触かつ不可視な存在を扱うのには適しているのではないかと思っています。そして空華という存在もやはり不可触で不可視な捉えどころのない存在であり、このため、この言葉は私にとってはとても大切なものとなっています。

空華、という言葉を聞いたとき

その天上的で、天使的で透明な響きには

どこか懐かしさを感じた

いったいいつ、どこで聞いたのだろう

ふと

それはわたしがまだ十歳のときのある日の午後

青い空を見上げてその遠さを想い

気の遠くなるような隔たりに

胸が締め付けられた時の記憶から

来ていたのだと理解した

空の青と

足元に咲く小さな青い花の青は

同じものであると知り

もう何も懼れることはないのだ、と

知った時のようだ

だから

わたしは

まるで、羊飼いのように

夜空の星のように小さく瞬くように広がる花々の咲く丘をわたり歩き

そして、まるで、呆けのように

花々の中に日がな一日立ちずさんでいよう

紅い瑠璃繁縷がその時を告げてくれるまで

(今井康雄)

 

竹内淳子 Junko TAKEUCHI

「蛟」(みづち) 絹本 岩絵の具 ピグメント 43.2✕32.4cm 2022

蛟は龍の子供。花と龍をテーマに連作した。

(竹内淳子)

 

中尾美園 Mien NAKAO

「Mother Code」 墨 岩絵具 和紙 パネル 14.0×15.0㎝ 2022

子どもの頃、それがないと眠れない毛布、触り心地がよくてずっと触り続けてヨレてしまったタオル、ぬいぐるみなど、そういったものは「ライナスの毛布」や「移行対象」と呼ばれています。絵筆で記したかったのは色も形もないような曖昧なもので、 母から子へのしるし。子から母へのしるし。(中尾美園)

 

三橋登美栄 Tomie MITSUHASHI

「雲影Ⅰ」月桃紙 色鉛筆 93.5×52.5cm 2022

水月空華(スイゲツクウゲ)

「水月」とは水に映った月のこと、「空華」とは空中に咲く花のことで、それらの実体はありません。禅の世界では、実体のないものへの囚われをなくすことを教えとしており、様々な言葉でこの教えが説かれています。

わたしは月桃紙に空華を描き始めるのですが、度々「その空華」を見失います。迷った挙句「実体があるとか、実体がないとかではなく、宇宙に存在する全てのものは虚も実も併せ持つ」と考え直して再び描き始めました。そして現在、その考えはまた何処かに消え去ってしまいました。空華を掴めないもどかしさは、自我への囚われをなくすことの難しさに似ています。(三橋登美栄)