今井 康雄 個展 花と感受性Ⅵー絵画と素描ー
2024年6月4日(火)~6月16日(日)10日(月)休廊 11:00~17:00(最終日16:00)
「どうして人は花を美しいと思うのだろう。」
花を描いていて、ふとそう思うことがある。人が花を見て美しいと思はなければならない理由など本当はないように思えるのだけれど、でも、実際、人は、もう太古の昔から、花を慈しんできた。なんでも先史時代に生きたネアンデルタールの人たちは、もうすでそのころから、人が亡くなると墓を作り、花を供えていたのだという。
モーリス・メーテルリンクはその著書、花の知恵(原題、L‘intelligence des Fleurs)の中で、自然界をつかさどる知性を、自然霊や地球霊、宇宙霊といった言葉で表現している。人間だけが知性を持つというわけではなく、この宇宙に存在する知性というものを自然界のあらゆる存在と共有していて、たとえば、動物も、植物も、昆虫も同じようにこの知性を使いながら生活し、進化しながらここに存在していると述べている。そう聞くと、自然界の不思議が、宇宙の不思議がなぜかしら理解できたような気になる。その不思議を、私は、花を描写し、作品にすることで私なりに理解しようとしてきたのかもしれない。
言葉にしようとすると、きっと膨大な文章になってしまうのだろうけど、絵画を通してありのままを伝えられるようになれたら、こんなに幸せなことはないと思う。 令和6年5月 今井康雄
Primula obconicaⅠ(プリムラ・オブコニカⅠ) 2024 30.1x17.6㎝ 板にアクリル絵の具