group93/81/72展 2021.5.18(火)~5.30(日)12:00~19:00(最終日17:00) 24日休廊
林 康夫 立体(陶) 中馬泰文 平面(素描)
木村秀樹 平面(版画) 高橋 亨 (構成)
昭和30年台前半の頃だったと思う。行動美術協会会員で関西の彫刻界で代表的な存在だった今村輝久さんのお家にお邪魔したことがある。大阪の上六の近くのお家だった。大阪讀賣新聞の美術記者で”おケイさん”と呼ばれていた鈴木敬さんと一緒だった。私は大阪サンケイの美術記者で、夕方近くなるとお敬さんとよくブラブラしていた。その時も二人とも用事や取材の仕事があったわけでもなかったので、ひとしきり雑談が終わると失礼しようとしていた。
そのとき今村さんは小さいが重そうな物を二つ出してきて、一つずつ持って帰れとおっしゃる。何だろうとよく見ると、ブロンズ色の小さな塊をにぎっておられる。それはブロンズ色の小さな塊で、人間の顔だった。お話によるとそれは粘土を片手で握ったそのままを人間の顔に仕上げたものだった。よく見ると、眉も目、鼻、口、顎がちゃんとそなわっている。西欧型の若い女性の顔だ。にぎりこぶしの大きさが可愛いい。
美術はいろんな遊びを教えてくれる。顔を握ることもできるのだ。こわれた電気スタンド支柱の一部である円筒型の大理石にブロンズの顔を接着剤でくっつけたのだ。一段と彫刻らしく見えるが、にぎりこぶしのおもしろさは弱まり、手ざわりの親しさはとおのいたのではなかろうか。(高橋 亨)
「浪江町の景 ’21-3」林 康夫
「remake : button(triangle)」中馬 泰文
「Mt. Fuji3」木村 秀樹