西薗 静 展

西薗 静 展 ー捨象のあとー

2024年4月30日(火)~5月12日(日)6日(月)休廊 12:00~18:00(最終日17:00)

「捨象」という言葉を知ったとき、これは自分の絵を形容する表現のひとつになると思った。
この言葉は、「抽象」と表裏一体をなしている。

画面を見る分には、対象から「抽出されたもの」が現れたのか、「捨て去られなかったもの」が残ったのか、違いはあまりないかもしれない。
ただ、絵をつくっていたときのことを振り返ってみると、「抽出する」「捨て去る」どちらに重点を置いて行動を起こしたかは、私にとって大きく異なっている。

対象からいくつかの要素を剥がし取って、図を軽くする。形態を点や線や面に置き換えて、平面を組み立てる。あのとき思考はそんな感じで動いていた気がする。

同じ対象を幾度か描いていると、回を増すごとにそれ自体を指し示す描写が減っていくことに気づく。

色を消す。線を剥がす。質量を抜き取る。
あるはずだったものが取り外されたところ。何を込めるでもなく、満たすでもなく、そのまま置きっぱなしにする。
そこへ、新たな空間が展開されていくかもしれないと、小さく期待している。

失くされたものと現れた空白。
捨象のあと。 西薗 静

ヤドリバチの線、僅かなスライド  284×218(㎜)

2013 京都教育大学教育学部 美術領域専攻 卒業

2017 京都教育大学教育大学院 教育学研究科(修士課程)教科教育専攻美術教育専修 修了