2025年7月8日(火)~7月20日(日)[7月14日(月)休廊]
12:00―18:00[最終日17:00]
洋画家・前田マイコ氏はスペインで10年近く、ニューヨークで4年近く研鑽を積み、海外で数多くの個展やグループ展を開催、ご活躍されています。1983年に日本に帰国、現在は京都吉田山の麓にお住まいです。今展は新作を交えて個展を開催されます。ご高覧頂けましたら幸いです。ご来廊をお待ちしております。
1,455×1120mm/2025
京都吉田山の麓にあるアトリエ
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「マイコ・マエダとの偶然の出会い」
マリビ・オテロ 美術評論家
レイナソフィア美術館(マドリッド)
私たちは偶然に出会った。本当に偶然に! マイコ・マエダはある時、作品を見てもらおうと画集を持って、私がディレクターをしていたルーブル・イスパハンⅡ画廊に立ち寄ったのだが、私が留守だったので、「また来ます」と名刺を置いて去った。もちろん、彼女はもう一度やって来た。知り合ってみればわかることだが、彼女は思い立ったら何事もやり通すのだ。2008年7月末のことだった。オフィスにアシスタントの声が響いた。「残していかれた名刺を見てディレクターがお待ちしていました」。こうして私は何年間も会いたいと思い続けてきた画家、マイコ・マエダと対面することになった。
「貴女の絵をこの画廊で取り扱ったのを知っていますか?」
「もしかして、J.S.氏のコレクションに入った私の絵のことですか?」
「そうそう! よく思い出してくれました」
私が以前に出会った彼女の作品は、1973年6月にマドリッドのマカロン画廊で開かれた彼女の最初の個展に出品され、そのコレクターが全部買い取ったものだった。それらの絵画は、ベネズエラ、マイアミを旅してマドリッドへ戻り、私の手元に届いた。その旅路を彼女に話すと、感無量の面持ちになった。35年間、自分の作品がどのように納まったか何も知らなかったのだ。
彼女は1968年にスペインに来て1978年までマドリッドに滞在し、エスクエラ・デ・アルテ・イ・オフィシオスを卒業、アカデミア・アルティウムで学び、油絵をエドュアルド・ペニャ氏とホセ・バランコ氏に師事した。
彼女の作品の中でも、「二人の女 1973年」「座る女 1973年」の2点に私は驚きを覚えた。強烈な色の表現が効いていて、ドイツ人の画家、アウグスト・マッケ(1887~1914)の“フォービズム”を思わせる。後年この色彩表現は、コラージュを多用したビビッドな色彩の抽象画へと発展した。知り合って以来、彼女がマドリッドを訪れる度に、私たちは一緒に食事をし、展覧会を見、おしゃべりし、日頃はEメールで近況を知らせ合っている。今度は、私がぜひ京都へ行かなくては! 彼女が住む日本千年の古都へ! そして、彼女がいつも登っている聖なる鞍馬山を訪ね、大自然に抱かれた寺院でお経を唱えたいと思う。(「鞍馬山からアララト山へ」。2006年に彼女はアルメニア共和国の首都エレバンにあるアルメニア国立ギャラリーで個展を開催した)
彼女はヨーロッパとアメリカ双方の芸術の影響を受けながらも、作品には東洋の美意識が根底に流れている。近年の彼女の作品は、表現主義的抽象とでも言うべき範疇にあり、謎めいて、暗示に富んだ、素晴らしいマチエールの仕事だ。そして、それこそが何十年も前に私が出会って魅了されたマイコ・マエダなのだ!
2013年5月20日、スペイのマドリッドにあるギャラリー・オルフィラにて個展がスタート。 www.galeriaorfila.com